「…ねぇ」

「…何よ」



沙南ちんが、あの女に声をかけた。



「…あなたがあたしのお父さんをシメたことは許さないけど、」


「…何?同情でもする気?ハッ。馬鹿みたい」


「…同情する気なんてないよ」


「…じゃあ何よ?」






「……好きだったんだね、ナツのこと。こんなコトするくらい」


「…………っ」


「好きで、好きで。どうしようもなかったんだね」



いつのまにか夜が終わり、朝になっていた。


起きたての朝日が、沙南ちんを照らしていた。




「……人に好きになってもらうって、…本当に難しいね」


「…皮肉!?ふざけないでよ!!」


ヒステリックをまた起こす女に、沙南ちんは断言した。



「…ナツは渡さない。」


「…………」


「でも、あなたにとってこれだけが全てじゃない」