「わからないよ」
手首をつかんだ女は、すごい力で、振りほどくことができなかった。
「…っ!?」
あたしをまっすぐに見つめる女の瞳は、とてもきれいで。
「わからないから、教えて?」
「……いやだね!」
胸の中で、何かが一気にあふれ出したような気がした。
「友達になろう!」
「人の話聞いてる!?」
「この世界には、楽しいことも、確かにあるんだよ」
「聞けって!」
「……ね?」
にっこり、笑いかけられたあたしは
不覚にも泣いてしまった。
初めて作り笑いじゃなくて
本当の笑顔で。
あたしに女は笑いかけた。


