「---っ!!」



間違いない。



唐突に、物事を理解した。



あれは沙南のお父さんで、あの時のおっさん!



『沙南を…よろしくね』


『……はい』



いつだか、沙南がお父さんが病気じゃないかと相談した後、偶然院内で会った。


その時の優しいまなざしを、恥ずかしいけど、うらやましいと思った。




「……沙南…」


「…ナツ!?」



足が勝手に動いた。勝手に、沙何の名前を呼んだ。




「……」



俺は言葉もなく、沙何のそばにより、頭をなでた。




「だいじょーぶ」