「……」 拓眞は少しの間入院することになった。 傷は見た目ほどたいしたことはないらしいが、念のため、だそうだ。 一人廊下の椅子に座り込んで、考え込んでいた。 誰が…? それと、何でオッサンがいたんだ? 「……はぁ…っ!はぁ…っ!!」 ボーっとしていると、ものすごく息を切らした人が前を通り過ぎた。 なんとなく、その後姿を眺めた。 「――――っ!!?」 その後姿は、 俺のよく知るものだった。 「……沙南…?」