――――… ドクン、ドクン…。 また心臓が高鳴っている。 今、病室の前にいる。 勇気を振り絞って、病室のドアを開けた。 ガー… 窓を見つめていたが、ゆっくりと、振り返った。 「……とう…さんっ…!!」 見間違いなんかじゃなかった。 「…沙南…」 お父さんの声を久しぶりに聞いた気がする。 ねぇ、大丈夫なの? 病気じゃないの? 聞きたいことはたくさんあるのに、声が出なかった。