『うつむいてはダメよ。泣きたいときには、顔を上げて泣きなさい』 母がいなくなったあの日にもらった手紙には もう一枚紙が入っていた。 「ふ…ふえぇぇ…」 「は!?ちょ…沙南!!?」 暗記するぐらい手紙を読んだはずなのに 今はその内容がまったく出てこない。 だけど今、頭に響いた言葉。 あれは確かに母の声だった。