「沙南~~っっ!」 「珠梨…」 ニコニコと笑顔であたしに接してくるのは、数週間前にあたしに声をかけた珠梨だった。 「珠梨ねー彼氏できたのっ!」 「へー」 人の色事にはまったく興味は無かったけど、珠梨のことは自分のコトのように嬉しかった。 それだけ 信頼してたんだ。 それだけ 仲がよかったんだ。 あたしは口には決して出さなかったけど、 あたしの親友はこのとき、 珠梨だけだった。 口にしないで 伝わるものなんてないのに、 伝わってるんじゃないかって 過信してた。