繫いだ手にはしっかりと、ぬくもりがあった。


「………愛村」



目を覚ましてよかったよ……。


「沙南ちゃん!?」


愛村のお母さんがあたしの名前を呼ぶ。


答えたいけど、あたしの意識はだんだんと遠くなっていくのを感じた。






……お母さん。

お母さんが愛村を助けてくれたの?



そうだとしたら、ありがとね。





お母さん、あのね。


沙南に好きな人ができました。


ヤンキーの癖に、優しくて、格好良くて。


笑うとすごく輝いてるの。



自分のコトより、人のコトを思いやれる人なんだよ。




名前は愛村ナツ。

県内最強の男です。