聖夜の約束

「そろそろ行こうか」


瑞樹が立ち上がるとテーブルを回って夏姫のイスを引いた。


「あ、ありがとうございます」


夏姫は立ち上がる。



レストランを出るとロビーに設置されたあの大きなクリスマスツリーが目に入った。


「あ・・・・」


クリスマスツリーを見た瞬間、レイと初めて会った時の事を思い出してしまった。


あの時は酔っ払っていたけど記憶は無くなっていなかった。


(なぜかレイくんは声をかけてきた・・・電車では絡まれたあたしを助けてくれて・・・)


その瞬間、頭の中と心の中がレイで一杯になった。


(レイくん・・・会いたいよ・・・10時になろうとしているのにいるわけが無いよね・・・)


レイともう2度と会えないと思うと泣きたくなった。


(あたしの好きな人は・・・)


クリスマスツリーを見てぼんやりしてしまった夏姫に瑞樹が立ち止まる。


「どうしたの?」


(あたしはこの人が好き?・・・違う・・・憧れていただけだ・・・)


立ち止まったまま泣きそうな顔の夏姫に瑞樹は眉根を寄せた。


「どうしたの?行こうよ ツリーなら部屋にもあるよ プレゼントも用意してあるんだ」