『キャー!!水が冷たァい♪』
『超気持ちいねぇ!!』
女子たちが騒ぐ、やけに人であふれかえった日曜日の海。
晶螺はうきわの上に寝そべり、一人ゆらゆらと水面を漂っていた。
ぁ~っ、くそっ!!
美夏ねぇとあいつが頭から離れねぇ…
その時、麻美が話しかけてきた。
『晶螺くん?どうしたの?
……なんか全然楽しくないみたい…
わたしとじゃつまんない?』
珍しいくらいに下手に出る麻美を見て、思わずその素直さを美夏と重ねる。
美夏ねぇ…
『晶螺くん?』
『ぃや…そんなことないよ。海楽しいしさ』
『じゃぁもうちょっと笑って?』
これが美夏ねぇだったら…
俺は死んでもいいのに…
晶螺はそう思いつつ、麻美に向かって笑って見せた。
それを見て安心したように麻美も微笑んだ。


