美夏が思わず振り返る。
"結構ヤルぢゃん"
といった目を晶螺に向けると、彼はえばって胸をはった。
20分後、試合は終わった。
『ゲームセット!!
勝者、菅野・雛森ペア!』
試合は大半が美夏と晶螺のポイント。
相手ペア二人はほとんど晶螺のサーブに苦戦、取れてもその後の美夏のスパイクに
けちょんけちょんにされたのであった。
相手ペアには悪いが、ハッキリ言って美夏と晶螺の相手ではなかったようだ。
『楽勝だったね、美夏ねぇ』
晶螺は少しかがんで、美夏の耳元で囁いた。
『当ったり前じゃん!』
美夏は自信満々に答える。
そんな美夏の様子を試合開始時からずっと見ていた男がいた。
…そう、友枝修二だ。
彼は試合中、彼女のフォームに見入っていた。
『これはこれは……』
腕を組んで、何かを考えているかのようにそう呟き、
サングラスをかけなおし、友枝は浜を後にした。


