ガヤガヤ…
時々聞こえる拍手の音。
審判の人や保険医師の先生を紹介している。
美夏はただボーっと席に座っていた。
横からの晶螺の視線が刺さる。
『何 人の顔見てんのよさっきから』
ついに美夏が口を開いた。
『さっきのあいつ誰?』
晶螺は不機嫌そうに即質問し返す。
『誰って……麻美ちゃんの先生でしょ』
『ちがうよ。
俺がきいてんのは、美夏ねぇにとって誰かってこと!』
『…前通ってたビーチバレー教室でお世話になった人。
何回かペア組んだことはあるけど。
あんたと麻美ちゃんみたいに。』
『-----それだけ?』
頬杖をついて晶螺はまだ不機嫌そうな顔をしている。
『何言ってんの!
あの人はあたしの親友の恋人なんだから!
それ以上があるわけないでしょ』
『ふーん…----』
恋人…"だった"んだから…。
美夏は過去を思い返してこぶしを握り締めた。
"美夏おめでとー!!
来月の試合でも友枝さんと組むんでしょ?"
"うらやましいな~ぁ"
"3人でドライブなんて私ジャマじゃない??
あっはっは!嘘よぉ"
『次っ!!2組目!コート入って!!』
"ごめんなさい、美夏!!許して!
私たち実は付き合ってるの!!"
"私、彼のことあきらめられない…"
"許して…美夏……"
2年前の千佳の言葉が痛いぐらいに心をつつく。


