◆太陽のごとくあいつは◆




『ほら、もうすぐ開会式はじまるからみんな座って待ってなさぁい!』



コーチの声が聞こえる。



二人は構わず見つめ合ったまま、やがて友枝が口を開いた。



『2年ぶり…か』



『……はぃ』




二人は、浜の近くまで行き、海岸の上に腰を下ろした。



『麻美ちゃんの"やり手の先生"が、まさかキャップ…友枝さんだったなんてね』



クスっと美夏は笑って言った。


友枝はタバコに火をつける。



『………。』



『麻美ちゃん今日でしょ?』


『もう席についてる。試合2組目だ』



友枝は続けた。


『一日目なんか引いてくれちゃって、まったく困ったおじょーさんだよ。

一緒に練習する時間は昨日の夕方からしかなかったのに…

本人はケロっとしてるんだからね。困ったもんだよ』




『あの子なら大丈夫だよ…友枝さんの教え子だもん』



教え子…か。


美夏は自分で言って、少し昔を思い出した。


『……?』



『パンチの効いた切れ味のいいフォーム…

どこかで見たと思ったら、思い出した。


2年前の千佳のフォームと同じ』