言葉を止め、シンドウはゆっくりとキョウスケに近づいてきて、鼻を鳴らした。                                   

「君は中途半端だ。人間のニオイもする」                             

 そう言ってキョウスケの肩に軽く叩き、シンドウは去っていった。                             

 変な人だな・・                            

 キョウスケはそう呟き、体を震わせた。                             


 シンドウへの恐怖なのか、殺意なのか。                             
 それともシンドウから香った血のニオイに興奮を覚えたのか。                                           

 キョウスケがそのことに考えを向けることは、そのときはまだなかった。