キョウスケはバケツに水を汲んで、ホウキを片手に戻ってきた。                              

「すみません。一度避けてもらえますか」                             

 二人はキョウスケの指示通りに休憩所の外に出た。                        

「まあいいや。君、名前は?」                                  

 掃除をしているキョウスケに小柄の男がそう訊いた。                                   

「・・キョウスケ・・・キョウスケです」                             

 そのとき初めてまだ高校生のその少年はキョウスケと名乗った。                              

「本名?」                               
「違います」