そして一番キョウスケの興味を引きつけたのは、『異常犯罪の考察』と題されたものだった。



 著者の名前が明記されてないことなどから、それがセンセイによって書かれた物だとキョウスケは察した。



 そこには異常犯罪の類型やその特徴、そして原因などについて細かに書かれていた。




「・・プロファイリングってやつか?」




 キョウスケは口に手を添え、ぶつぶつと呟きながら目で文章を追っていった。


 おそらくこういった知識があれば、異常犯罪を犯す人間を造ることが可能だろう。



 キョウスケは少しの恐怖、そして好奇心を抱いていた。



 異常犯罪を犯す者は天才が生まれるように、偶発的で奇跡的に生まれるとキョウスケは思っていたが、自分の浅はかな考えに気付かされた。



 異常犯罪者が生まれるのは偶発的ではあるが、ある種の必然性も帯びている。            

 それは異常な心理状態に陥るような環境が偶発的に存在し、その環境さえ整えば異常犯罪者は必然的に生まれる。