そう言うとシンドウはしゃがみ込んで、セカンドの耳元で囁くように言葉を続けた。                                 

「お前、いいように利用されたんだよ、あの男に。大体お前の言うように頭の良い男なら、俺を殺すのにお前なんか使わない」                    

「違う!ゼロは僕を信頼し―」                                  
「頭のイカれた奴を信頼するわけがないだろう。それにお前の今の状況を作り出したのは、その男だ」                         

 セカンドはその言葉を聞いて、涙を流した。                           
 ゼロは絶対の存在。                          
 でもシンドウの言葉を受け流す力は、今のセカンドにはなかった。                             

・・僕は騙されていたのか?




 最後にセカンドが感じたのは、シンドウの歪な笑い声と頭にめり込む鈍い感触、そして目前に浮かぶ月が陰っていく様子だった。