「シンドウさんを殺すと最初に言ったよね」                            
「・・はい」                              

・・理想どころか、この人はその範疇を逸脱してる。                        

 キョウスケは中学生の頃初めてセンセイの“講義”を聞いたときと同じような感覚を覚えた。                                
 深く、暗くて冷たい淵に目を落としているような、足が竦む感覚。                             
 キョウスケの息は自然と荒くなり、血の流れは激しくなった。                               

「実はそれを君に頼みたい」                                   
「えっ?」                               
「シンドウと名乗っているあの男を殺してほしい」                         

 そう言ってセンセイは携帯電話を取り出した。