時間は何も言わずに静かに流れ、朝は無意味に必ずやってくる。



ヨウコとヒカルは朝早くに出て行った。


とりあえずの荷物だけ持って出たのだろう。


ウチの中は昨晩とほぼ変わりなかった。


ただ1つ、テーブルの上の離婚届を除いて…。



荷物をヨウコに頼るのはやめて、行き先近くの営業所止めで荷物を送った。


ミクは先日渡したスペアキーで車に荷物は積んだようだ。


後は簡単な荷物と自分達だけ……。


ボクは僅かな家族生活を思い出しながら、残りの時間を過ごした。



振り返ると笑顔だった日々しか思い返せず、ヨウコとヒカルのおかげで自分が幸せだったを再認識させられた。





16時45分…




カギをポストに落としてボクは家を出た。


カギが指先を離れる直前まで思う事はあった。でも、どちらにしても、きっと後悔はする。なら、愛する人を選ぶ。


ボクは振り返る事なくRAV4に乗り込んだ。


「ミクはまだか…。」


後部座席までくる荷物に圧迫感を感じながら…、ミクが来るのを待った。




17時00分…


17時30分…


ミクから…待ってて…とだけメールが来た。


バックミラーをマンションの出入り口に合わした。


17時45分…


ミクが小さいスーツケースを引いて出てきた。


ボクは車を降りてミクを迎えた。


「ゴメン、遅くなって…。」


「いいよ。大丈夫?」


「届は出したし…、大丈夫だよ。」


「行こうか…」


「うん…。」





ボクは車に乗って、エンジンをかけた。