晩秋の夜空は星達が踊るように鮮やかで、ボクの事などお構いなしに輝いていた。


ミクの方は割と順調に準備しているのか、離婚届も準備出来たとメールがきた。


明日、11月17日、17時に出る事にした。待ち合わせはボクの車。荷物はとりあえず居るものだけ…。


ボクの方は…。



会社には今日、最後の挨拶を済ませた。キョウコは最後までボクを睨みつけていたような気がした。


車はあらかた整理して、ヨウコのCDを車から降ろした。


夕食を済ませ風呂から出るとヨウコはヒカルと部屋に入っていた。




ボクはとりあえず、荷物をまとめる。


ほとんど終わった頃は、それでも寂しさに襲われた。


天井を見上げて今までの生活を思うと幸せだった事を再認識して、複雑な感情に浸っていた。





ガチャ


「ちょっといい?」


扉が開いてヨウコが入ってきた。


「あぁ……。」


「やっぱり、出て行くんだね。決めてるんだ。」


ヨウコは部屋を見渡して言った。


「あぁ。明日の夕方には…。住む所が決まったら荷物は送ってくれ。すまない。」



「そっか…。私達はどうしようかな?実家に帰ろうかな?」



「そうか…。それもいいかもな。」



「他人ごとみたいに言わないでよ!なんなのよ!!」


ヨウコがいきなり声を荒げた。


「……。」


ボクには何も言えなかった。


ヨウコはボクを涙目で睨みつけていた。


「すまない…。」


ボクにはこれしか言葉がない。


ガチャ


ヨウコはその言葉を聞くと部屋を早足で出て行った。


「はぁ〜。」


深いため息が出た。



ガチャ


んっ?


もう一度扉が開く音がした。


ボクはため息と同時に落としていた目線を上にあげた。