一番マトモなオレが子供達を風呂に入れ、チビっと呑みながらも、布団へと連れて行った。


子供達は意外にあっさりと眠ってくれた。

オレもこのまま…、と思った頃、部屋の扉が開いた。


「子供たち…、…」

「しぃっ〜。」

オレは振り向いて、(静かに)っとサインを送った。

黒岩さんの奥さんだ。


「気になって…」

「すぐ寝ましたよ。はしゃぎ過ぎたんでしょ。」

オレは何故か緊張していた。

ユキに似た人と一緒だからか?

部屋の暗さから、口説いて抱きしめるぐらい許されそうな…。



「お、おい、ミク!ちょっとコンビニ行って来てくれ!」

遠くからの旦那の声が許してはくれなかった。


「はぁ、戻りましょうか。」

奥さんの声ががっかりして聞こえた…、いや、良く解釈しすぎか?


リビングに戻るとチークでも塗ってんのか?ってぐらい真っ赤な黒岩さんとヨウコがいた。

もう、オレは突っ込む気すらない。


「そうね、ちょっと行ってきます。ご馳走になってばかりだし。ワインで良い?」

黒岩さんの奥さんが外に向かいながら言った。

「いや、私が行ってきますよ。」

オレはこの酔っ払いコンビの相手をしたくなかった。

それに…。

「外は結構な雨ですよ、だから…。」

しかしそれすら、打ち消す。

「いやいや、…妻に行かせればいいんですよ。」

「…そうですよ。宮本さんは座っててください。」

黒岩さん、あんたは鬼、いや赤鬼ですか?

しかも、健気な嫁さんだね。


「いや、夜で雨ですから…。」

むしろオレが行きたい。

「そうね。んじゃあ、パパ…一緒に行ってあげて。」

妻が提案した。

「良いんですか?」

そう言った黒岩さん、アンタの相手よりましだ。

「じゃあ、奥さん行きましょう。」

まだ、躊躇している奥さんの前を歩いて、オレは外へ向かった。



「おい!ワイン二本で良いか?」

「は〜い。よろしく〜」