雨は小雨になる気配すらなく降り続いていた。



ボクは傘もささず店を出ていた。



ミクを追うのに邪魔だったからだ…。


なるだけ濡れないように来たつもりでも、かきあげた髪はすっかり濡れていた。




少し人通りの少ないショッピングモールの横で追いついた。




「おいっ、ちょっ、待てよっ。ミクっ!」


ここがキムタクではない。




ボクはミクの腕を掴んだ。


「離してっ!!」



ミクは腕を振り払って歩き続けた。



「おっ、ちょっ、待てって…」



ボクは傘をくぐって後ろから抱きしめた。



冷静に…、だ。



「待ってよ。話をしよう。何か勘違いしてない?」



「何が?」


ミクは聞いた事のないほどの低い声だった。




「いや、叩かれたからさ…。怒ってるし…。」



わずかな沈黙が苦しい。


「あの子、だれ?」



「会社の子だよ。」


あのタイミングでミクが来ているから会話の前半は聞いていない。


ベストの答えを探して答えた。



「なんで、二人でいたの?それに……」


「違うよ。彼女は何でもないんだ。不倫でもいいから…って言ってきたから…断っていたんだよ。」



「それで…?あんな酷い言い方するの?」




「彼女は会社でもモテる子だし、プライドがあると思う。だからあんな言い方をして、ボクが最低な男になって、フラレるようにしたんだ。」


「それで?だからってあんな言い方って……」



「じゃあ、どうすれば良かった?」



さあ、来い。キムタク。


「オレはキミを愛してるんだ。キミ以外、ミク以外を考えるなんて出来ない。他はどうでもいい。キミじゃなきゃ、ダメなんだよ。……キミは、ミクは…………………オレじゃダメか?」



よし、来た!!
理論と感情のバランスも良い。




沈黙の後は……、「私も…」っとくるはず。