キョウコはただでさえ、潤み気味な瞳を潤ませオレを見ていた。



「でも、私はアキトが好き。これからもっと好きにさせる。頑張る。だから…。一緒にいたい。」

折れない女だ……。


「わかった。オレもこれから、もっと好きになるよ。」




カラン
カラン

常連が何人か連れて男女で入ってきたのか…、5、6人入った気がした。


「って、ことで…。キョウコ帰っていいよ。」


「えっ?」


「この後、セフレのマリアちゃんと会うから。そこのマットの人気嬢ね。んで、最後に愛してる人と会うんだよ。明日は、ほら、経理の新人のミユキちゃん。食事に行く予定だし……。」


オレは真実と嘘を混ぜた。

ミユキちゃんはこの前、昼食が一緒だっただけで何もない。



「次に会うのは…、わかんないけど…、ゴメンな。」


「……。」


キョウコは何も言わない。

オレが一気に喋ったからもあるだろうし…。


自分の後輩の名前が出てくるのは悔しいだろう。



「ゴメンな、またヤリに行くから…。」


「なんなの……、えっ、何?」


「これからもよろしくね。」

「なっ!?わたし……。」


「キョウコ、もう、オモチャにしないから…、セフレでいてね。帰っていいよ。」


オレはイヤらしく笑った。



ビシャッ


「キャッ!」


隣の女が声をあげた。


それは、カシスオレンジをかぶったオレのセリフだろ。


キョウコは氷までオレにかぶせた。



「最低!!」



パーン


キョウコの平手はやや耳に入った。


高めの足音をさせてキョウコは去って行く。


店は静かに音楽だけが流れていた。


オレはうつむいて…………ニヤリとした。













「ゴメン。」


後ろで小さく声がした…。


カッカッカッカッ………

パーン



「………ミク?なんで……?」



涙目のミクがボクを叩いて店を飛び出していった。