着替えが終わると気分の入れ替えだ。

少し前にミクが部屋を出る音がした。さすがにウチでは……。

「連絡待ちか…。」

小さく呟いた。




…。


部屋をでる前に短く息をはいて気分を変えた。



ガチャ



ボクが扉を開けると目の前にミクが立ってた。

「ん?」

ボクは必死で平静を装った。

「さっ、飲み直しだね。行こう。」

っと言って歩きだそうとしたボクの服を突然ミクが掴んだ。


「もうちょっとだけ…」

そう言ってミクはボクの胸元に頬を寄せた。

平静も入れ替えた気分も意味ナシだ。

また、心をわしづかみにされた。



ミクの顔を右手でこちらに向けキスをした。

左手は後ろ髪を撫でながら、今度は右手をミクの胸元へ滑らせる。


リビングからは死角で見えないとはいえ向こうで黒岩さんとヨウコの声が聞こえる。

緊張感と興奮が右手を動かす。


二十代後半とは思えない弾力と顔に似合わぬ大きさを感じ、下から持ち上げながら円を描く。

時々指先を少し固い場所に当てる。

「あっん、んっ。」

レロッ、チュパ、クチュ唇で声を止めた。

左手を服の中へ滑らせた瞬間…。


「ダメ、ガマン出来なくなるから…」

ミクは小さな声でボクを止めた。


だが、腕はボクを強く抱きしめたままだ。

「わかった。……大好きだよ、ミク」

ボクは大人しく最後に軽くキスだけした。

ミクは小さく頷いて…、
「うん…。」

「……飲み直そ。」

ミクはボクから離れリビングへ向かった。

ボクは少しの間、廊下にいた。




右手と唇の感触を確かめ、…………スイッチを切り替えた。







リビングでの数時間はいつもの何もない日々と同じだった。

表面上は…。

オレはいつもの笑顔で背徳を消し、会話と酒を楽しんだ。





しかし、ボクの心はミクが占領していた。

目の前の恋と欲望に浮かれていた。

先の事など考えもせずに……………。