降り続く雪がボクの手のひらや頬に落ちて消えていく。


いつの間にか、ウルサかった群集の声は遠くになっている。



ボクを呼ぶユキの声も徐々に聞こえなくなってきた。





ボクは薄れていく意識の中、色々な事が頭を巡る。




ミクとの日々は特に鮮やかで眩しすぎた。





ねぇ、ミク。



もっとそばに居たかったな……。



あの日の約束はボクは守れただろうか?



ボクの愛した笑顔は消えてないだろうか?



キミは変わらず笑っているだろうか…?







ボクは目を開けて霞んでよく見えない雪の振る空を見上げた。



「…キト……だい………ねぇ……キ……」


ボクを呼んでいるだろう声が聞こえた。



「……すまない。………ワガママ言っていいか??」


「アキト?……何?」


「うん………、あのね……」








ボクはもういい。


このままで…


どうせ何もない明日だ。



何より、ワガママでキタナイけど、これでボクはキミの中に生き続けれるかもしれない。






ねぇ、ミク…。


抱き合った温もりを忘れないでくれたらいいな…。


まだボクに残るキミの声と笑顔をこのまま抱きしめていくから……









「………お願いなんだけど…………。」


「……………ねぇ。何?ねぇ、しっかりしてよ。ねぇ。お願い、ちょっと…、しっかりして。」



「なぁ、………うっ、はぁ、……・・………もう一度……ボクを抱きしめて………」






ねぇ、………。


この悲しそうに降る雪がキミにボクの気持ちを届けてくれたらいいな……。








愛してるよ









空は静かに雪を降らし、街には聞き慣れたピアノバラードが静かに流れていた。