4月から9月。ほんとは5ヶ月だけど、3月頭で学年が終わるのを考えると、やっぱり夏休みの終わりが一年の半分の終了を告げる気がする。
「かずっち、将来の夢とかある?」
「そんなのまだ考えたこともない。」
「かずっちらしいね。
俺はねー、早く仕事して、結婚して、子供つくって、暖かい家庭に入りたいな」
「‥‥順平、どっか頭打った?」
「ひどいなぁー、俺にだって帰る家ってのは欲しいんですよ。」
「帰る家‥‥ねぇ。」
“帰る家”。
それは家庭なんだろうか。
いつも笑って、おちゃらけてる順平は、理屈的な俺からしたら単細胞な人間だった。
そんな順平から、将来のことを聞かれるなんて思わなかった。
俺の“帰る家”
それは、今の俺の家じゃない。
他に帰るべき場所があるんじゃないか。
そう思えて仕方なかった。
それから、学校の屋上は俺らの秘密の場所となり、弁当を食べに行ったり、授業をサボる隠れ場にしたり。
初めて屋上に来た時は三人ともぎこちなかったけど、なんでも慣れというものはある。
寝たり、ゲームしたり、くっちゃべったり、雑誌見たり、エロ本見たり‥
気づけば俺たち三人のたまり場になった。
