ふたりきりの車内
途切れ途切れの会話
「星が遠くなった」ふいに君の声
暗闇しか映さない窓を見つめ

言いにくいことを切り出す時の
君のくせは今でも内緒にしてある


遠くなったのは他でもない
僕ら二人だということ
君だって気づいていただろう
言葉を飲み込むのが上手くなった
知らないことばかり増えていく




慣れ親しんだアパート前
なかなか降りない君を
抱きしめようとした僕の
手はハンドルから離れなかった

通り過ぎる車のライト
繰り返し二人を映し出す


くだらないことで笑い合える
似た者同士だったと
過去のように振り返るだろう
終わりに気づくタイミングさえ
僕らは最後まで同じだった




遠くなったのは他でもない
僕ら二人だということ
君だって気づいていただろう
言葉を飲み込むのが上手くなった
傷つき合うことも忘れていた




幾つもの瞬きをきそい合って
数えてはしゃいぐふたり
きっと忘れる日は来ないだろう
あの頃のように純粋な気持ちで
見上げられなくなったとしても