見上げた先には雲ひとつない

全て染めつくしてしまう

真っ青な空が広がっていた

誰もが微笑む世界で窮屈そうに

呟いた彼女のたとえ話に

僕はつまらない未来を語った


幸福の中と不幸の中
人はどちらが生きやすい?
「境界線をたどりたい」
望むものはいつだって遠くに




放課後のベランダから見下ろす

校庭の隅のテニスコート

ラリーの音が響き弾けた光を

眩しそうな目で追い続ける

たった一瞬でもよかったんだ

本当の表情を守れるならば


希望の中と絶望の中
人をどちらがより弱くする?
そのアイダの何も干渉されない
彼女の悲しまぬ世界があれば




彼女の瞳の中の空が滲んだ

それは渇くことを知らず

今まで見てきた景色の中で

最も美しく最もせつない

僕らはあの日からただひたすら

青空を映すことに必死だった