それから、三週間が過ぎた。

速人とは話していない。

史華も綾那も最初は不思議がっていたが、そのうち何も言わなくなった。


速人も、目を合わしてこないし喋りかけてもこない…

「秋穂!!」

『直哉…』

直哉が更衣室の前で待っていた。

「一緒に帰ろう」

『あっ……うん』

直哉はニコニコ笑いながらあたしの隣を歩く。

あたしも、直哉といると何故かホッとする。

「大会明後日だな~」

寮まで五分もかからない道のりを毎日一緒にかえっていた。

『そうだね!頑張らないと♪』

「俺さあ…興奮するんだ…」
直哉の目を見る。

夕日に照らされ、漆黒の瞳は赤みを帯びている。
『………興奮?』



「走るのは一人………だけど必ず誰かが見てくれている…」

直哉は振り向いてあたしに微笑んだ。

『そうだね…』




直哉は自分を持っている。知り合ったときは、口が悪くて…最低だったけど………

今は…


イマハ?


今は…何?

何故か息が出来ない。
うまく直哉を見れない。

ハズカシイ…

直哉に恥じることなんて何もしていないのに、体がほてる。

無邪気に笑う直哉を見て、
真剣に走る直哉を見て、

あたしは…直哉が…