言葉を失った 「…な、つ?」 名前を呼んでもいつものように答えてはくれない。 何で?! どうしてっ!! 「夏は記憶喪失なの」 困惑した表情の夏に変わって麻菜ちゃんが答える。 記憶喪失…? 夏、あたしのこと、忘れちゃったの…? 驚きのあまり言葉が出ない。 代わりに涙が止まらなかった。 「…あなたのせいでね」 「えっ…?」 そういって不敵に笑った麻菜ちゃんの顔を、あたしは決して忘れないだろう。