「気がついたか?」

あれ?私……。
途中で気を失ってた。

天使だとか悪魔だとか、そんなこといきなり言われたって──。

「痛っ!」
頭に一瞬、激痛が走る。
思い出そうとするとズキっと痛む。無意識の中で刻まれた言葉……、


”助けて、お願い”


そうだ……女の人!
私に似ていた……ケド、背中に大きくて真っ白な翼があったっけ。

「大丈夫?」

「うん。ここは?」

やっぱりアンディの言っていたことは……嘘じゃないのかもしれない。

「魔界さ。ここは『天使』は来ることができないんだ。さっき、天使って言ったけど、厳密には違うんだ。亜美は『天使の生まれ変わり』なんだよ」

生まれ変わり……?

今まで全ての奇妙な出来事が一本の線に繋がった気がした。
脳裏の中で走馬燈のように繰り返す過去の日々。

悪魔のようなものは”ようなもの”じゃなくて『悪魔』そのものだったんだ。

「じゃあ、あの女の人は……私自身ってことなの?」

「女の人?クレアのことかな?」


『クレア』……あの時もそんなこと言ってた。


「クレアってどんな人物だったの?アンディ!教えて!!」

「少しずつ記憶が戻ってきているみたいだね。クレアは天使から悪魔を守っていた、天界の選抜された天使だったんだ。それと……」

私は彼の瞳を見つめて悟った。

「俺の恋人だった」

クレアのことが大好きだったっていうことを。