「奇妙なこと?」
昼休み、教室でお弁当を広げながら、私は親友の星野美子(ほしのみこ)と談話していた。

「うん……。信じないかもしれないけど気味の悪い悪魔みたいなヤツが時々見えるの」
私の名前は神南亜美(かんなあみ)。
十六歳、柊高等学校の一年A組に在籍中。

「悪魔?きっと幻覚よ、幻覚!そんなの居るわけないじゃん」

「そう、だよね」
彼女の言う通り、気にすることはないのかもしれない。

──でも。

気になって仕方ないのも事実。

こんなこと親密になって聞いてくれる人なんていやしない。
最近、自分自身がおかしいのではないかと不安でいっぱいになるもの。

断片的に脳裏に現れる記憶。
悪魔に追い詰められているシーン……。

一体、何なの?