「……グランス」

彼が小さく呟いた。

「私の名前を知っているとは光栄だね」

「亜美、ヤツが魔王だ」

「……アンディ、一緒に帰ろうね」

「もちろんだ」



「少しは楽しませてくれるんだろうな」

「あんたなんかに絶対負けないんだから！！覚悟しなさい！！」


お願い！！クレア！！

私に力を貸して！！


「そうはさせるかっ！」

ロザリオからの光が完成する前にすかさず攻撃をしかけてくるグランス。
彼の手中から繰り出された黒い闇の攻撃は、亜美を数十メートル後へと吹っ飛ばした。

「きぁああ……」

その瞬間、彼女の手から離れたロザリオが宙を舞う。

「亜美――っ！！」

「……あっけなかったな。もっと反撃してくると思ったんだが」

弧を描きながら床に落下したロザリオを右手でつまみ上げると、彼は怪しく笑みを浮かべた。


――グシャ……。


ロ……ロザリオが……っ。

粉々に砕け散った破片だけが無惨に飛び散る。

「貴様、最初から狙いはそれだったのか？」

「人を卑怯呼ばわりでもするような目つきだな。そうだ……と言ったらどうする？」


「お前を殺す！」