魔界に来てからどのくらいが経ったのだろう。
その前に果たして時間の流れは人間界と同じなんだろうか?

感覚的には三時間……ってとこだけど。

私とアンディはあれから暫く、無言で歩いていた。
どこまでも続く一本道はどことなく寂しくて険しい。

しかし……。
この沈黙に先に耐えきれなくなったのは私の方だった。

クレアさんのこと詳しく聞いてみたいけど……亡くなった人の話ってし辛いわよね、やっぱ。
う~ん……その他の話題って言ってもなぁ。
頭の中は久しぶりにフル回転していた。


「着いたよ」

「えっ?」

突然、現実の世界に引き戻されたような気になってハッとする。

「ここが魔界の中心にそびえ立つ『魔界城』さ。悪魔たちは皆、魔王・グランスの命令により天界を荒らし始めたんだ」

目の前に立ちはだかる魔界城は不気味という言葉が相応しい。
空は夜ではないハズだと思うのだが、薄暗く黒い雲が一面を覆っている。
飛び交うカラスとコウモリの群れ。
まるで昔みたテレビアニメの世界のようだ。

「要するにそのグランスってヤツを倒して封印すればいいのね」

「……うん。ヤツは悪魔たちの頂点に立つ者、油断は禁物だよ。それに手下の悪魔たちも襲ってくるかもしれないし」

「分かってるって」

頑張るって決めたんだもの。
今更引き下がることなんてできないし、思い詰めても仕方ないしね。
開き直っていたのも事実だったりする。