「探してあげよっか??」
凪兄はやさしいなぁ。
「ありが……」
とあたしが言いかけたとき
《〜〜♪♪》
凪兄のケータイがなって、凪兄はすぐにでた。
「何だよ志穂。今から??うん、わかった。じゃーな」
彼女からかな…??
「ごめんな優梨、俺用事出来たから…。一人で探せるか??」
まーた始まった!!凪兄の子供扱い!!
「もう!!子供扱いしないでよね!!あたしは大丈夫だから。じゃあ、いってらっしゃーい」
「なるべく早く戻って来るからな」
「うん」
あたしは精一杯の笑顔で凪兄を見送った。
それから30分が経過。
財布はいっこうに見つかる気配なし…。
なんかモヤモヤする…。
あぁ、もう!!
「なんなのよーー!!!!」
ソファーに座りながら叫んでみたら、なんかちょっとスッキリした。
でも、財布は見つからない。
その時、二階から誰かが下りてきた。
「あ!!竜ちゃん!!」
それはこの家の次男、竜ちゃんこと“桜井竜”喧嘩っ早くて、あたしとはいーっつも口喧嘩してばっかり。
歳はあたしより二つ上。
「いいところに来た!!今、財布探してて……」
「てっめぇ!!おめぇのせぇで寝れねぇじゃねぇかよ!!ヒトの家でぎゃーぎゃー喚きやがって。帰ればか!!」
ぷっちーん
あたしの頭の中のなにかが切れた。
「ばかはそっちでしょ??てゆーか、あんたが寝てようが、そんなのしったこっちゃないわよ!!」
「俺、朝からバイトあって、まぢで寝てねぇんだよ。もう限界……」
どさ…
「ちょ、ちょっと…。何なの??」
竜ちゃんは、ソファーに座ってたあたしのひざ枕で、スヤスヤと寝はじめた。
あたしは、財布を探してることも忘れて、竜ちゃんの寝顔をずっと見ていた。
ん??てゆーか、うちの学校ってバイト禁止じゃなかったっけ…。
「…ばーか」
あたしは竜ちゃんにデコピンをした。
いつもだったら、やり返されるから眠ってるうちにね。
そしていつのまにかあたしも、眠りについていた…。