★YURI


「ママぁー!!??」

この、大声で叫んでるのは、あたし“相沢優梨”中学三年生。

「もう〜なぁに??」

これはあたしのママ。すっごいお茶目で、本っ当に子供みたいなんだぁ…。


「ママ、またあたしの財布どっかやっちゃったでしょ??」

ため息混じりに言うと

「ママ知らないわよぉ。あ!!奈々ちゃん家かも…」

はぁぁ??

「もう、またなの??」

あたしはムカつき加減でママを睨んだ。

「ごめんね〜。今からママ持ってくるから」

「いいって、自分で取りに行くから」

そう言い残して、あたしは奈々ちゃん家に向かった。

ママは奈々ちゃんの隣にどうしても住みたくて、去年買った家がこの家。

ちなみに、奈々ちゃんっていうのは、ママの小さいときからの友達なんだ。

たまにみんなでご飯食べに行ったりして、本当に家族にたいな仲なの。

あたしは勝手に上がり込んで、財布を探しはじめた。


「優梨ちゃーん♪」

いきなり聞こえた声にびっくりして振り向くと、そこには“桜井凪”こと凪兄がいた。

凪兄はこの家の長男で、あたしより三つ上。

とにかく女たらしで、凪兄に泣かされた女は星の数。
「なにー??今忙しいんだから」

素っ気なく言うと

「何やってんの??」
と笑顔で返してきた。

「財布探してんの。ママがどっかやっちゃってさぁ。」