冬の華

どうしようもないもどかしさからつい声を荒げてしまう。

「何も知らない人にそんなこと…言われる筋合いないと思います」

俺の言葉に気を害した彼女は
背中を見せて歩き出した。

「あんたも本当は解ってんだろ?そいつの存在を確認する為に…、必死になってんじゃないのか?」

無視を決め込む彼女の後を
俺も付いて歩いていた。

「そいつの姿を追い求めても…、どんなに居場所を死守してみてももうそいつは居ないんだ…」

彼女の代わりに肩の猫だけが、
時折振り返り尾を揺らしている。