冬の華

精神統一だけを何日続けたのか。
俺は無の境地になることを覚え…

《おい、腹減った》

無の境地だ。

《腹減ったぞ》

無の…境地。

「にゃ〜」

無の、無の…

「にゃ〜にゃ〜」

「うるせ〜人が無になってんの邪魔すんな」

「にゃ〜」

澄まして猫になりきった
ワンダがまとわり付いている。

仕方なく二人分の食事の支度を
始めた。

ワンダは黄泉の使い魔だから、
最初に聞いたときはビビった。
食い物って何だ
まさか…人間の魂

《そんな下品な物は食せん》

食後前足で口周りを整えながら、

《お前もまだまだだな…
話し掛けたぐらいで途切らすとは情けない》