冬の華

目を醒ますと、

隣には…
この世のものとは思えない、
均整のとれた眉目秀麗な
美青年が

腕に頭を乗せ俺を見ていた。

《やっと醒ましたな?
さて、契約するか》

目が合い様、
ニヤリと笑って立ち上がった。

どこも痛くない。

気合いを入れて立ち上がるが、
すんなりいって拍子抜けする。

身体中どこにも傷がない。
夢だったんだろうか?
実は事故ってなかった?
それとも、こっちか?

《どれも夢じゃない。
お前が体験したのは全て現実だ。
条件を飲んでもらう》

頭に直接響く声。

現実か…。

流れ出た血もなくなって、ただ、破れてボロボロになった服だけがそれを証明していた。

《俺はお前を助けた。
今更なかったことには出来ない。
逃げるか?
俺からは逃げられないがな》

全てを理解して見据えた。

「逃げないさ」