彼女が出て行く直前で、
その腕を捕まえる。

「落ち着いて…説明するから、
席戻ろう?」

店内の注目を浴びる中、
彼女を椅子に座らせ、
手を繋いだまま向かい合う。

そして気付く。

その手を通じて…
まるで独り言を呟き続ける様な、彼女の思念体。

ならばあれは、
あの女の思念ということになる。

「分かったよ…悪かったって…。伸ばして無いって…嗚呼そうだよ俺がデートって言い出したんだ…そんな怒るなよ…」

ん?
冷ややかな視線の先を辿れば、
剥れたままの彼女が
黙って睨んでいた。

ヤバイ…。
つい彼女の思念体と
会話してしまった。

あ〜…
えっと…。

「嫉妬してくれるのは正直…、
嬉しかったけど。
そんな気持ちで見て無いって」