斎宮物語


【お須免の方の間】


「上様は、何故あのような娘をご側室にしたのじゃ…。
よりにもよって、江戸の町娘など…。」

お須免の方は、公家の出だ。

教養深く、落ち着きがある。

だから、家宣の目に止まり、側室となった。

ただ、やはり公家の出だけに、町娘を側室にするなど、考えられなかった。

由所ある血筋が、一番…。

お喜世の方は、女中奉公をしていたから、理解出来ぬこともないのに…。