「それに、昨晩、お添い寝役の話しによれば、何もなかったそうにございます。 斎宮様がお子を身ごもられたとしても、鍋松君の方が年長者。 お世継ぎは鍋松君しか有り得ませぬ。」 「絵島… ありがとう」。 絵島は、まだ家宣が綱豊と名乗っていた紀州時代からお喜世の方に使えていた。 同じ庶民出身ということもあり、お喜世の方は、絵島を大変信用している。