斎宮物語


「…やはり、冷えてきたのう。
戻ろう。」

「はい…。」

上様にまた手を繋がれて、御小座敷に戻った。

「朧月夜とは、良いものじゃ。
いつきと見ることが出来たことま決して忘れぬ。」

「もったいのう、ございます。」

「恋い焦がれるのも、悪くはない、か。」

「え?」

上様…。

今、何と。

恋い焦がれるとは…。