斎宮物語


「そうじゃ、まだ夜は浅い。
少しくらい良いじゃろう。」

「されど…。」

「嫌か?」

「そのようなことは…!」

「では、行くか。」

上様が立ち上がったので、私も一緒に立ち上がる。

「う、上様!?」

お添い寝役のお中臈とお坊主の人が慌ててついて来た。

「どちらに?」

「ちょっと月を見てくるだけじゃ。
大事ない。」

「はあ…。」