私は鞄から携帯電話を出した。
葵さんの電話番号の入った携帯。
私は葵さんと離れてすぐに、新しい携帯を買って、これは解約せずにとっておいた。
中身がみたいけど…でも、もう少し我慢しよう。
それからゆっくりと立ち上がった。
『お菓子の家』に帰ろう。
今はどうなってるのかな。
確実に目的地へと近付いて、気付けばもう夕方も終わり、もうすぐ夜がやってくる頃だった。
そして…其処へ着いた。
真っ暗で、よく考えたら定休日だよなーなんて思いながらも、表の入り口に手をかけた。
すると、涙が滲む。
ああ、帰ってきたんだ。
本当は寂しかった。
帰って来れて良かったな。
なかなか扉を開けられない。
ドキドキするなんて、久しぶりだな。



