電子会話

 ……ログイン。

金魚「こんにちは〜」
レンガ「こんにちは。ちょうどログイン」
金魚「お午前なのに珍しい、どうしたの」
レンガ「それはお互い様」
金魚「今日はたまたま早く起きたの」
レンガ「偉いじゃん」
金魚「えへへ。……レンガは学校とか行ってないの?」
レンガ「行ってない。義務教育だけはこなしたけど、その後のカリキュラムは受けてない」
金魚「お友達もそうなの?」
レンガ「似たようなもんかな」
金魚「レンガは幾つなの?」
レンガ「十九」
金魚「納得出来るような出来ないような……」
レンガ「なんで?」
金魚「十九っぽかったり、もっと大人っぽかったりするから」
レンガ「嘘かもよ」
金魚「そんな微妙なウソついてどうすんの」
レンガ「さかなちゃんは幾つなの」
金魚「十五才」
レンガ「ふたりとも奇数だね」
金魚「なんかの占い?」
レンガ「違うよ。ただ単に奇数が好きなんだ。割り切れないって好いじゃない」
金魚「なんか、変わってるんだね」
レンガ「みんな変わってて、普通なんだよ。世界に同じものはふたつとないから、すべてが貴重なんだよ」
金魚「そうか。あたしでも、誰かにとってはかけがえのないものになれるかも知れないんだ」
レンガ「此処の管理人には大事な訪問者だよ。閑古鳥が啼いてるからね」
金魚「あはは。だって書き込みの多いとこはついてけない。意味わかんなくて」
レンガ「確かに。符丁とかばっかり使ってるから入り難いなあ」
金魚「レンガの書くことも時々難しくてわかんない。符丁って何?」
レンガ「仲間同士だけで判る合い言葉とか暗号みたいなの」
金魚「物知りだねえー」
レンガ「それより、せっかく午間起きてるんだから、窓の外見てごらんよ。いい天気だよ」
金魚「待って……」