目が覚めると、まだ暗闇の中にいた。
でもさっきの暗さとは違うみたいだ。
起き上がろうとすると、頭が痛んだ。

(……痛てぇ…)


頭を両手で抱え込みながら目を恐る恐る開けてみると、驚いた。


「ここ、あの怪しい店じゃん…。」


表通りに新しく出来たらしい、闇商売っぽい謎の店である。
てことは、つまり。
俺はここの店の人に助けられたらしい。
もしくは、そいつに殴られて連れてこられたか。


「目が覚めたようじゃな?」


奥の方から、しわがれた声が聞こえた。
どうやら助けられたようだ。
だってこんな弱々しいじーさんじゃ、力一杯殴りかかるなんて至難の技だろう。

「助けてくれたんですか?」


「いかにも。」


礼を言うべきか?
こんなじーさんが1人で俺を運ぶなんて、大変だったに違いない。


「ありがとうございます、助けてくれて。」


じーさんは、ニコニコしながら頷いていた。