―― 今、深夜1時。


ランプを手に持ち、塔内を見回り中。
大きい窓から月明かりが差し込み、石造りの階段を神秘的に照らしている。
階段は塔の中心を螺旋状に貫いていて、塔なだけに半端なく長い。
当然、足腰もしっかり鍛えられる。そして疲れる。


キーコー…キーコー…


…何の音だろう。


どこか控えめな、だけど俺の嫌いな音…。
学生時代に経験した、まるで黒板を爪でひっかくような、あの音。


キーコー……ガタンッ!


不快な音が続いたあと、何かが落ちる大きな音がした。


「絶対盗賊だろ…」


目の前に、よれよれの薄汚れた服を着た、筋肉質な男たちが6人群れていた。