俺は一瞬寒気がした。
夜番は初めてだったし、だいたいバイトなんかに夜を任せていいのか?!
疑問なところだ。
そりゃ昼間は昼間でこきつかわれて重労働だけど、夜ときたらお互い命がけだ。


初めての夜番。
もし夜番だったらキンチョーするし…





シフト表には確かに、濃い字で"夜"と書いてあった。


ちくしょー。
夜番は9時からだから、かなり時間あるな。
街でもうろつくか。





ロンドンの街はかなり栄えている。
中央街にはぎっしり店が並び、所々に屋台も出ていて、日中はとても賑やかだ。
いろんな街からここへ訪れるひとがいて、表通りは人が溢れかえり、歩くのも困難だ。


暑苦しいけど、こんな賑やかさを俺は気に入っている。
毎日が祭りみたいで楽しい。


ふと、見たことのない店が目に入った。


「…時計屋かな?」


窓から覗いてみると、室内は異様に暗く、店員がいるようには思えない。


変な店だな。
表はこんなに賑やかなのに。


まるで、路地裏の闇商売的な雰囲気だった。
俺は入るのをためらい、その場から立ち去った。