ぶつくさ言いながら村の中を探索していると、ふと、あることに気づいた。
どの家も、戸口に旗を掲げている。
あれは、何だろう。
それぞれ少しずつ模様が違っていて、そのどれもがかなりこだわって作られたらしい織物だ。
織物の旗は色とりどりで、鮮やかであり、触ってみると今までにないほど抜群になめらかな手触りだ。
こんなすごいものを、誰が作ってるんだろう。
しかも、村人全員ぶん。
「まじすごすぎ…」
感心して呟いていると、眺めていた旗がついている家の戸が、突然開いた。
――ガチャンッ! ゴンッ…
「いったぁ…」
う、なんと…
これはさっきの黒髪だ。
戸を開けて飛び出した瞬間、俺がいたわけで。
頭をぶつけたらしい。
「……あんたぁっ…!!!」
ものすごい形相で睨みつけてくる…。
怖っ…。
思わずひるむ俺。
「何だよっ!
ここにいて悪いか?!」